サウスコースト、2つの海岸

Iceland

アイスランドのサウスコーストは公式の名称ではなく、およそレイキャネス半島の付け根のセルフォス(Selfoss)という町から東海岸の入り口のへプン(Höfn)という町の間の390kmほどの海岸沿いのエリアをさす、観光などのための地域名である。この地域には、さほど大きな町はない。主なところとして、セリャラントスフォスやスコゥガフォスなどの滝を訪れる拠点になるへトラ(Hella)、溶岩台地の中にあるオアシスのようなキルキュバイヤルクロイストゥル(Kirkjubæjarklaustur)、そしてその中間辺りにヴィーク(Vik)という集落があるくらいだ。そのヴィークは、活火山カトラ(Katla)とその上を覆うミールダルスヨークトル氷河(Mýrdalsjökull)の南に位置し、サウスコーストの最南端の村でもある。ちなみに人口は、400人に満たないらしい。

このヴィークの近くには、レイニスフィヤル(Reynisfjara)、ヴィークルフィヤラ海岸(Víkurfjara)、ディルホゥラエイ岬(Dyrhólaey)、ソールヘイマサンドゥル(Sólheimasandur)の飛行機残骸など海岸沿いの見所が多い。

レイニスフィヤル海岸(Reynisfjara)

レイニスフィヤルは、ヴィークの町の西側のレイニスフィヤットル(Reynisfjall)という山を越えて車で10分ほど走ったところに位置する美しい漆黒の砂浜(Svartisandur)である。ナショナルジオグラフィック誌で「世界で最も美しい非熱帯ビーチのトップ10」に選ばれたこともあり、映画「スター・ウォーズ」やドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のロケ地としても使用された。ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)の 「I'll Show You」のMVでも、彼が黒い砂の上を走っているシーンがある。

レイニスドランガルの浜側は、柱状節理の海蝕崖になっている。

2枚目の写真は、柱状節理に囲まれ、劇場の舞台のような半ドーム状になった玄武岩の洞窟「ハルサネフシェル(Hálsanefshellir)」の内側。人が入るとスケール感がわかるので、ちょうど撮影していた方に声をかけて一緒に撮らせてもらった。狙い通りの一枚になって、この写真もお気に入りになった。

なお、ここまで掲載した写真は4月に訪れた時のものである。

Reynisfjara
パフィンがいた柱状節理の崖

8月のレイニスフィヤル海岸では雨が強くて、掲載するのは右の一枚だけ。多くのパフィン(Puffin)が飛んでいるのが見えたので、これだけでも撮ろうとした。しかし、望遠レンズをつけていなかったので、このくらい撮るのが精一杯だった。この旅行記を書くときに調べて見たら、パフィンは渡り鳥で、8月になると繁殖地を離れ、海へ戻っていくという。ちょうどそんな時期だったわけだ。4月にはまだ飛来前だった可能性が高く、一羽も見なかった。旅行記を書いている時、NHKの「体感!グレートネイチャー」で、ここのパフィンのことが出ていて、見たことも思い出した。

パフィンの日本名は「ニシツノメドリ」というそうだが、見たり聞いたりしても括弧書きのなか。英語のパフィン(Puffin)、アイスランド語のルンディ (Lundi)のほうが間違いなく一般的に使われている。


ヴィークルフィヤラ海岸(Víkurfjara)

ヴィークルフィヤラ海岸(Víkurfjara)は、レイニスフィヤットル山(Reynisfjall)を挟んでレイニスフィヤル海岸の反対側、つまり、ヴィーク(Vik)側の黒砂の海岸である。レイニスドランガルの奇岩はレイニスフィヤル側から見えた2本に加え、ランドドランガル(Landdrangur)という陸側の柱も見えている。だが全く違う表情だ。レイニスフィヤル海岸と比較すると波は荒くなく、砂浜も緩やかだった。海岸の黒砂には引き波が美しいストライプ模様を作っていた。波の打ち寄せと引き波によって、粒の大きさや重さなどが異なる砂が選別され、濃淡のある帯ができることがあるという。ここでもそんな作用によって、このような模様が生まれていたのだろう。また、こちらの海岸は、レイニスフィヤルに比べて圧倒的に人が少なく、静かだった。