家路

御輿来海岸

日没前、遠浅の浜から戻ってくる人が見えた。それまで貝でも採っていたのだろうか。オレンジ色に染まった干潟の道を、荷車を押して歩く姿が、なぜか郷愁を誘う。

御輿来海岸(おこしきかいがん)を訪れたのは2015年8月3日。大潮の終わりにあたり、潮は大きく引いていた。日没は午後7時頃。日が傾いて潮だまりに光が反射し、やがて島原半島に日が沈み、その後も空は色を変えていく。移りゆく干潟の景色を、ゆっくり楽しんだ。冒頭から数えて4枚目は、東へ4kmほど移動した場所で撮影したものだ。

この日は天草から本土へ戻る途中、午後4時過ぎにここを通りかかった。干潟に潮だまりが描く模様がきれいで、しばらく留まってみることにした。写真家の友人から御輿来海岸の美しさを聞いていて、立ち寄るつもりではいたが、潮の状況までは調べていなかった。ずいぶん幸運だったわけだ。

今、Google Mapsで見ると、海沿いには「あまくさみすみ線」が走っている。当時は列車を撮るという発想がなかったが、今ならきっと、風景の中に列車を入れて撮ってみたくなるだろう。

日没後、車を動かし始め、3分くらい移動したところで、海岸に降りられそうなところがあった。ちょっと、降りて撮ったのが上の最初の一枚。網田漁港東導流堤灯台が見えている。

帰ろうと車を走らせていると、また別の海の中へ延びる電柱の列に気づいた。日没後の写真にも写っている。調べると、「長部田海床路」というらしい。

長部田漁港の手前に海辺へ入る細い道があったので入ってみると、電柱列の前の波打ち際まで行くことができた。このときは潮が満ちていて、海へと延びる道路は水没し、波打ち際の進入路だけが見えていた。それも趣がある。道路の先端辺りには漁船が係留され、電灯の光が漁り火のように見えるのも面白い。しかし、この電灯は何のためにともされているのだろう。

Google Mapsを見ると当時とずいぶん様子が違うので調べてみたら、2020年代に入って「住吉海岸公園」の駐車場の拡張やトイレの改修など、整備が進んだとのこと。今では観光バスも立ち寄り、トイレ休憩もできる観光スポットになっているらしい。どこもかしこも、変わってしまうものだ。